田のじ

ビバからっ風



まち、みせ、演劇、見たものそのままお伝えします。日本でもやるよん。


http://www.den-no-ji.tokyo.walkerplus.com/


2分前まで『たのじ』と読んでいました。正解は『でんのじ』。あらら。


「だって寒いもん。」


意味不明な言い訳を吐きつつ、場所のご紹介。ここは目白。学習院大学のすぐ近く。普段はお上品な街なのでしょうが、土曜日の夜8時、からっ風が吹きすさぶ東京では、そんなことには興味なし。ただただ、おでんを食べたくて、場違いな場所にやってきてしまいました。


外がどんなに寒くとも、心の中で「おでん、オデン、Oden」と唱えれば、もう其処は出汁の香りが充満するお店。メガネが曇ろうが、ダウンジャケットに結露がつこうが、そんなことはお構いなし。お店に入ると長めのカウンターとテーブル席、そして奥には囲炉裏つきテーブルが。もちろん、カウンターに陣取る。入り口に近くて、ちょっと寒いけど、その感じがまたおでんを盛り上げる。


カウンターに座ると、目の前ですっかり出来上がった「おでんダネ」たちが手招きをしている。。。「『俺も入りたい』。なんて言ったら、お連れさんが引くのかな。それとも、『どうぞ』と満面の笑みで返してくるのかな。多分、後者だろうな。」などと、刹那に思いつつもビールを注文。乾杯もそこそこに、あっさり目の品目から注文。第1ラウンド開始。湯葉、しらたき、などなど。


ここのお店は関西風のお出汁。至極あっさりした中にも、かつおの風味が嗅覚の高めいっぱいを攻め、その一方でアクセントとして味覚ギリギリ低目いっぱいを狙う醤油の味がたまりません。


早速第2ラウンドへ。力量を充分把握したところで、お店の名物のひとつ目を注文。


『トマト』


このおでんやさん、カウンターに真っ赤なトマトが並んでいます。注文が出る度にひとつずつ、オヤジさんが丹念に下準備をし、おでん出汁で軽く煮込んでゆく。トマト、正直いうと得意種目ではないのですが、「うまいものはうまい」という信念を持ちつつ、口に含む。



「うまい!!」


と私の顔が大声で騒いでいたそうです。本人、熱さとうまさで一言も発せず。。。おでんだしがトマトの酸味をこれほどうまく引き出すことが出来るのかと感動。火の通し加減も絶妙。君達、やるね。


第3ラウンドに入る頃には、日本酒にスイッチ。体もポカポカ、もう、へべれけモードです。



そんでもって、満を持して「玉子」へ。



中を開くと、半熟なのです。


つい先程は、トマトの甘さを存分に引き出した出汁が、今度は黄身の甘さを印象付ける。


もう、どこにでも連れて行ってくれ。


ちなみに、写真がどんどん小さくなるのは、私の意識がどこかに連れて行かれている証拠。


思わず第4ラウンドにも玉子を再登場させてしまうほどの上出来さ。もちろん、他のタネたちも大活躍。


お酒も旨いし、LA帰りで寒さがこたえる体も、日本の冬を受け入れる感じ。大満足。


でも、ひとつ心残りは、最後の客になるまで長居をしてしまった結果、〆にと楽しみにしていた「きつねうどん」(お稲荷さんの袋にうどんが潜んでいる心憎いやつ)が品切れになってしまったこと。


なーに、まだまだ冬は続く。北風とともに、戻ってきてやるさ。