Lesson 25 - コードネーム
「飛べない豚は、ただの豚さ」
この台詞が心の端に引っかかり、はや十年以上。そして、この一年間はLAに島流し。一念発起、合法的に「空飛ぶ」免許を取ることにしました。
マット教官はクリスマス休暇に入り、今日は代理の教官。実は校長先生です。教習所のオーナーであり、現役のインストラクターでもある、ジョー・ジャスティス。超、かっこいい名前。ジャスティス、「正義」です。でも、実際は丸顔、丸メガネのとても優しいおじさん。語り口調もソフトで、「今日は皆休み、俺しかいないので、ごめんね」と。
いやいや、トンでもございません。いずれ受ける実技試験の試験管もこの人の予定。よろしくお願いします。
飛行機に乗る前に、少しブリーフィング。マット教官からの言伝で、着陸のコツを伝授すると言うことに。言葉は少ないが、とても解りやすい。ソフト・ランディングのコツは、「地上すれすれの状態で、少しでも長く飛行機を飛ばそうと努力すること」らしい。すると、重力の加減で自然と着地するらしい。そういえば、いままではとにかく地面に降りることにとらわれていたので、強引なランディングが多かった。なるほど。
そのほか、目線のやり場や、操縦桿への力の入れ具合など、微妙なタッチが必要となる箇所について、いくつかのアドバイス。あとは、実地訓練。このおじさん、横でじっと座っているだけ。でも、何故か安心感があり、飛行に集中できる。極たまに、指差しやゼスチャーでポイントを指摘。このタイミングがなんとも絶妙。
今までは、綺麗なランディングは5回に1回程度(別に危険ではないのだが)だったのが、かなり確立があがってきた。さすが校長先生。
で、訓練も終わって、ジョーと雑談をしていると、「そういえばコードネームが君にはあったよね」と。
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コードネーム。そう、映画『トップガン』では、トム・クルーズが「マーベリック」、バル・キルマーが「アイスマン」などと、いったやつ。名前とは別にパイロット仲間で呼び合うときのサイン。
校長先生曰く、「マットから聞いているよ」と。
マット教官から呼ばれた記憶もないのだが、「なんだろう」と首を傾げてみると、
『モスラ』
おい、おい。よりによって、それかよ。革ジャンにモスラのワッペンでも張れというのか。
他の教官たちも大爆笑。
ちっ、今は芋虫で糸吐いているけど、いずれは燐粉撒き散らして空飛んでやる。
本日のフライト時間:1.2時間(風邪気味だと、三半規管がしびれて辛い)
注記)上記のテクニカルな内容は勉強中でもあり、記載されている情報に誤りがある可能性もあることを、あらかじめご了承ください。もし、間違いに気づかれた際は、どしどしご指摘ください。